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著作権が切れた美術品の写真を取って書籍にして売るのは合法か?違法か?

著作権が切れた美術品の写真を取って書籍にして売るのは合法か?違法か?

自分が所有している著作権の切れた美術品の写真を売るのは、まあ誰もが合法だと思うだろう。

他人が所有している場合はどうか?美術館が所有していて「そんな本を販売されたらうちの収益が損なわれるじゃないか」と文句を言ったらどうなるか?

顔真卿自書建中告身帖事件(がんしんけいじしょけんちゅうこくしんちょうじけん)とは、唐代の書家顔真卿の真蹟である「顔真卿自書建中告身帖」の所有者である博物館(財団法人)が、この告身帖を無断で複製し販売した出版社に対して、所有権(使用収益権)の侵害を理由に、出版物の販売差止とその廃棄を求めた民事訴訟事件である。最高裁の判決は、当該著作物はパブリックドメインであるとし、博物館側は敗訴した。

顔真卿自書建中告身帖事件 - Wikipedia

所有権は物理的な有体物を保護する権利であって、美術品の「表現」という無体物の複製専有の権利(著作権の複製権)とは別物である。著作権が切れたからと言って、所有権を持っている人が複製の権利を専有できるわけではない。

(複製権)
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

で、ここまでは判例なのだけども、このケースでは今の所有者の前の所有者から撮影の許可は得ているんだよね。これを得ていなかった場合はどうなるのだろう?

判例には「許可を得ているから複製してよいのだ」ということではなく「複製権が消滅しているから複製してよいのだ」という書き方なので、許可がなくても合法と考えてよいだろう。

さらに踏み込んで、美術館が館内での撮影を禁止していたとして、その館内で撮影して出版した場合、美術館はその販売行為に対して差止請求や損害賠償請求ができるだろうか?

まず、著作権の切れているものを複製して販売する行為は不法行為ではないので、差止請求権はない。著作権が切れていなければ著作権法に基づいた差止請求ができたのだが…。

損害賠償に関しては、私有地の管理者は施設管理権を持ち、写真撮影を禁止することは合法な権利行使だ。だからそこで写真を取るのは違法行為だし、違法行為に基づいて損害を与えられたときにはその損害に対して賠償を請求する権利がある。

民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。