青本とは

弁理士にとって青本と言えば「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」です。これは特許庁が出しているオフィシャルの「解釈」が書かれた2000ページの分厚い書籍です。工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕 | 経済産業省 特許庁

PDF版が無償でダウンロードできるのでどうせなら電子的に検索したりしたいですよね。ところがこのPDFは暗号化が掛かっているため検索がとても遅い。PDFMinerでテキスト化しようとしても、暗号化のせいでうまく行かない。

コピー&ペーストは聞くので自分でテキストファイルにコピペをすればサクサク検索できるテキスト形式のファイルが手に入るわけですが、もちろんこのファイルをここで公開すると著作権法第23条、公衆送信化権の侵害になるわけです。

公衆送信権等)
第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

 まあ、僕が個人で使う分には著作権法第30条、私的複製なので問題ないのですが。

(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

 この「家族内その他これに準ずる限られた範囲内」ってのの定義があいまいであることがエンジニア的には気になりそうです。これは著作権審議会/文化審議会分科会報告 | 著作権データベース | 公益社団法人著作権情報センター CRICの昭和56年の報告に詳細があります。

「これに準ずる限られた範囲内」とは、人数的には家庭内に準ずることから通常は4~5人程度であり、かつ、その者間の関係は家庭内に準ずる親密かつ閉鎖的な関係を有することが必要とされる。したがって、例えば、親密な特定少数の友人間、小研究グループなどについては、この限られた範囲内と考えられるが、少人数のグループであってもその構成員の変更が自由であるときには、その範囲内とはいえないものと考える。

 というわけで、僕と親密な少人数の特許研究小グループを作ったら私的複製の範囲で渡しても大丈夫なのかな~?