第21回二級知的財産管理技能士学科試験(15~17)

(誤り)「瑕疵担保責任は,民法上定められた権利であるので,当事者間の契約によって,排除することはできない。」

瑕疵担保責任は確かに民法上定められた責任(570条)であり、売主がその責任を果たさない場合、買主は損害賠償請求や契約の解除ができる。しかし瑕疵担保責任免責の特約を付けることはよく行われている。

「相手方の債務不履行によって譲渡契約を解除した場合には,契約は過去にさかのぼって効力を失う。」

ここで言う「解除」とは、一定の事由の発生によって契約当事者の一方に解除権が発生し、その者が解除権を行使することで、契約が遡及的に消滅し、契約当事者双方に原状回復義務を発生させる制度、だ。民法第541条 

履行遅滞等による解除権)
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

(誤り) 「明細書には,何人もその発明を実施できるように,発明を明確かつ十分に記載することが必要である。」

これはうっかりした。

第三十六条  4  一  経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。

 その他の選択肢に関しては「2  願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。」というわけで、図面は必要な場合のみ。

(誤り)「日本の税関に輸入差止の申立てをすることができるのは,特許権等の知的財産権の登録を受けた権利者だけである。」

登録をしていない専用実施権者も差止請求権を持つ。

差止請求権
第百条  特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」