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出願公開を急ぐ理由

特許法第65条で出願公開の効果について規定されている。

(出願公開の効果等)
第六五条 特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。(以下略)

普通の流れだと、出願して、特許権が設定された後、ようやく「この発明は私が専有している!」と主張できるようになる。なのですごくホットな内容を出願して、特許権が設定されるまで3年かかったとすると、その3年の間は自分が出願している内容を実施している競合他社を見ながら「ぐぬぬ」って言うことになる。

それはあんまりでしょう、ということでこの「補償金請求権」がある。出願して、出願公開され、その後競合他社に「私はこういうの出願してますよ!」と警告書を送れば、その警告から実際に特許権が設定されるまでの期間に関しても特許権が設定済みであるのと同様の額の補償金を請求できる。

もちろん、実際に請求が行えるのは、特許権が設定された後。

2  前項の規定による請求権は、特許権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。

だけども警告される側からすると「特許権が設定されるかどうかはわからないが、された場合には補償金を払わなければならない」という状況になったら、当然悪い側を想定してその後の経営判断をすることになるよね。そうすると競合製品の安売りはリスキーだなーということになる。早めに撤退やライセンス交渉を進めることになる。

こんな法律があるとは知らなかったのだけど、シビライゼーションで言うところの移動後即座に攻撃ができる戦車とかのような印象を持った。

そしてこの戦車をさらに高機動にする方法がある。出願公開請求権だ。

(出願公開の請求)
第六十四条の二  特許出願人は、次に掲げる場合を除き、特許庁長官に、その特許出願について出願公開の請求をすることができる。

つまり、出願する、出願公開請求する、補償金請求の警告書を競合に送る、という三連コンボで知財戦争では序盤ラッシュを掛けることができるわけだ。面白い。