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擬制とは?推定とは?

擬制とは、本質的には異なるXとYについて「YはXと同じ」ということにすること。推定は「YはXと同じだろう」ということにすること。どう違うかと言うと、擬制には反論の余地がないが、推定には反論の余地がある。

この2つの使われ方の違いを特許法で説明すると、特許法48-3-4「出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす」これは擬制なので、「いや、取り下げるつもりなんてないんです!ただ遅れただけです!」ってのは通用しない。

一方、特許法103「他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する」これは推定。そもそも民法上、損害賠償請求は損害を与えた側に故意または過失があることが前提なのだ。民法709「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

だけども特許を侵害している人に故意または過失があることを、特許権者が証明しなきゃいけないのはハードルが高すぎる。そこで特許の侵害行為があった場合には「過失があるんだろう」と推定することが、特許法で特別に認められている。これを「特許権侵害への救済手続」と言う。これは推定なので、過失があると推定された人が「いや、過失じゃないよ!」と主張して証明できれば過失がないと認められる。具体的には、例えばその特許の出願時点で既にその特許内容を使用していた場合、「先使用に基づく通常実施権」が発生するので特許があっても使っててOK。

(先使用による通常実施権)
第七十九条  特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。