独立特許要件違反に気づいているのに補正却下できない場合
「独立特許要件違反に気づいているのに補正却下できない場合は?」という質問が答えを見てもよくわからなかったので調べた。
簡単にまとめると:前置審査において、審判請求時にした補正が独立特許要件違反などの不適法な内容であった時です。前置審査の審査官は、特許をすべき旨の査定をする場合を除き、補正を却下することができないからです。
第百六十四条 審査官は、第百六十二条の規定による審査において特許をすべき旨の査定をするときは、審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない。
2 審査官は、前項に規定する場合を除き、前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはならない。
前項に規定する場合=第百六十二条の規定による審査(=前置審査)の審査官が特許をすべき旨の査定をする場合
第五十三条第一項の規定による却下の決定=補正の却下
勉強ログ
試験に申し込むとついついその試験に受かることを目的にしてしまいがちだが、そもそもの目的は「学びの効率化」だということを忘れないようにしよう。
自分を実験台に、何をどれくらい学習したらどうなったかののログを取って行く。
2016/02/01
家から会社までの30分間の電車で「知的財産管理技能士検定2級 学科 スピード問題集」を1問目~9問目まで解いた。p.2~27の26ページ。全365ページあるので、終了見積もりはざっくり2~3週間。
なぜこの本か?→ちょうど最近届いた本がこれだった。
この本が適切かどうかという疑問が出てくるのはわかるけども、それに答えを出すことはできないと思うので考えるだけ無駄。この本を含めて弁理士試験向けの本や、知財一般に関する本をいろいろ買ってあるので、それをきちんと頭の中で体系づけることを目指した方が良い。
「頭の中に体系づける」と「質問に答えられるようにする」はイコールではなくて、前者が目的であって、それが達成された場合には後者が自動的に達成される。で、僕は今まで色々と「体系づけることの支援はどうすればできるか」を研究してきた。KJ法とかね。なんだけど、これは鶏と卵の様相があって、モヤモヤしている状態で体系化しようとして体系化できない時に、一歩足を進めるにはどうすればよいか。その手段が後者なんだろうなぁ。
週末にこれとは別件で「本を読むことのKPIってなんだろう」と考えていたのだけどSuperMemoのマニュアルを読んだらヒントがありそうな気がしてきた。
SuperMemo: Incremental reading Effective learning: Twenty rules of formulating knowledge
SuperMemoはいわゆるフラッシュカードであって、本を読むとか知識を体系づけるというところとは異質なものと思い込んでいたけども、少なくとも成果や進捗が計測可能になるというメリットはあるわけだ。
Ankiを試してみている。40分で、間違えたところに関してのカードを作成。32枚。その後それを学習。今日学習すべきものとして20枚が提示され、14分で学習完了。
Ankiのアルゴリズムとして、複数の箇所が穴になっている穴埋め問題は同じセッションで学習しないように先送りする機能がある。なので「特許出願に必要な書類」が5つぐらいある中の、最初の1個だけを学習した。これはなかなか良い機能で「さっき見たから答えわかってる」で答えてしまうことが防がれている。請求の範囲が必要なのは何度も見たからわかっているのに、最初の1個を間違えまくった。これがランダム穴あけで表示されていたら抜けていることに気付かずに正解してしまっただろう。
「今日は35枚のカードを6分間で学習しました」と表示されている。
その後、仮の電車で30分、最初座れなかったので「口述マスター」で学習して、その後座れたので2級の本の10と11を解いた。家に帰ってからそれらで間違えた問題をAnkiに入れ、特許無効審判の無効事由について登録し、新規カードの学習を+10枚して勉強してみた。学習79枚、忘却17枚。明日の復習は30枚。
もっと新規カードを勉強してもよいのだろうか。やればやるほど短期的に復習の負荷が上がる。新規カードを登録することを頑張るべきか、新規カードを学習することを頑張るべきか悩ましい。
何か判断基準が示されていたりしないのかな?
2016/02/02
「弁理士試験 口述試験バイブル 第3版」の一部をやってみたが、口頭での返答で「ただし50条の2とセットの場合は別です」とか答えてて、この応対を見ても学びにならない。まず「50条の2」ってのが何なのかを学ぶ必要がある。ちなみに「すでに通知した拒絶理由通知と同一である旨の通知」だ。
そこでAnkiに条文と要約とのペアを入れてみたが、第29条とか第19条とか答えるのは予想以上に難しい。今までの付箋よりも圧倒的に間違えまくることからもわかる。で、結局1の位を別のcloze deletionにするって方針で難易度を下げた。
しかし口述問題は質問と回答が対応づいていて一見学びやすいように見えて、実はそうでもない。やはり短答式や、それに相当する2級の試験問題を優先的にやるべきだな。5月まで間がないし。
暗記カードの出題量は意外と少なく感じる。物足りなく感じる。でも「今日は 431 枚のカード を61 分間 で学習しました。」とか書いてある。そんなに枚数さばいたかなぁ。焦っても仕方がない、時間を空けて学習しないと定着しない。3日連続して勉強するよりも、間をあけて2日勉強した方がよい。
短答式の解説があるページ 独学の弁理士講座-弁理士試験の勉強法-
Anki、いままでCustom Studyで新規カードを全部学習していたけど、それをやるよりunburyでnormal scheduleの配分のまま早回しした方が良いかも。
新規カードを学ぶ速度の方が、新規カードを作る速度を上回っている…。
If-Thenプランを更新した。電車に乗ったら1: 座れたら2級、座れなかったらAnki or 口述マスター、PCの前ならまず電車でやったことのAnkiへの書き込み、それがなくて家なら正林教科書 か 短答式過去問、家以外なら、自分のブログの過去のエントリーや弁理士とのメール、飽きたら5冊の本を適当に。
どこを更新したかというと、変更前は「電車に乗ったらまずAnki」だったのの優先度を下げた。Ankiの1日の出題数を朝の段階で全部消費してしまうから。隙間時間にAnkiすることにしたら、会社のエレベーターを昇っている間に3問とか、ちまちまと勉強できている。こちらの方がよい。Ankiは「何を勉強するか」という意思決定が必要ないから、おそらく仕事から帰ってダラダラしているときでも勉強できる。
2016-02-03
Ankiの優先度を落としても、家に帰るころには全部消費されている。エレベーターの移動とか電車を待っている間とかの細かい隙間時間に勉強が行われる。
第65条とか答えさせる問題、難易度が高すぎて復習で全滅してそのカードだけ残るから辛い。先にoverall pictureを学ばねばならない。まずは目次を覚えることにしよう。
条文番号→要約 の対応付けを学ぶカードを機械的に追加したが、これは明らかに誤りであった。覚えられない。結局ほとんどを「保留」にすることになった。
代わりに章タイトルを見て章番号を当てるカードを追加したが、これですら割と答えられない。
特許権の移転請求権
Q: 特許権の移転請求権の行使が認められるのはどういう時か?
僕の回答: 特許を受ける権利を有しないものによる出願(冒認出願)の場合だな
解答: 共同発明なのに共同出願しなかった場合(第38条の規定に違反)と、その発明について特許を受ける権利を有しない者の出願の場合(第123条1項6号)
(特許権の移転の特例)
第七十四条 特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
(特許無効審判)
第百二十三条 特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
二 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
六 その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。
(共同出願)
第三十八条 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
第21回二級知的財産管理技能士学科試験まとめ
朝起きて、ふと思い立ったので第21回二級知的財産管理技能士学科試験の過去問を解いてみた。
http://www.kentei-info-ip-edu.org/library/pdf/141130_2Q_g.pdf
解くのに1時間、その後迷った点や間違った点について調べて解説を書くのに3~4時間かかった。40問中29問正解で、合格ラインは32問なので、ちょうど「少し頑張ればクリアできそうなハードル」ということになる。弁理士試験の前にまずは二級、そして一級を取るのもいいかもしれない。
第21回二級知的財産管理技能士学科試験(25~40)
(誤り)「意匠登録出願に係る意匠について補正できる期間は,拒絶理由通知の発送日から所定の期間に限られる。」
特許法の準用なら拒絶査定後の不服審判などの際にも補正できるよね。
「特許協力条約(PCT)に基づく国際出願に対する国際調査報告を受領した後に,出願人は国際事務局に補正書を提出することにより1回に限り請求の範囲について補正することができる。」
(誤り)「日本で特許出願した場合には,当該特許出願に基づいてパリ条約上の優先権を主張してその特許出願の日から6カ月以内に限りパリ条約の同盟国に特許出願することができる。」
(誤り)「パリ条約上の優先権を主張して商標登録出願をする場合に,優先期間は12カ月である。」
パリ条約第4条C(1)「A(1)に規定する優先期間は、特許及び実用新案については十二箇月、意匠及び商標については六箇月とする」
(誤り)「国内優先権の主張を伴う特許出願は,その特許出願の日から1年6カ月を経過したときに出願公開される。」
(正しい)「国内優先権の主張を伴う特許出願については,その特許出願の日から3年以内に出願審査請求を行う必要がある。」
国内優先権を主張した出願は、先の出願をした日から1年6ヵ月経過後に出願公開。審査請求期間や特許存続期間の起算日は、後の出願の出願日。
(誤り)「商標権者が,故意により自己の商標権を侵害した者に対し,その侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額をもって,その商標権者が受けた損害の額とみなされる。」
これは紛らわしいけどあくまで「推定」であって「みなされる(擬制)」ではない、というところがキー。
「職務発明についてその発明をした従業者等が特許を取得した場合,その従業者等を雇用する使用者等は法定通常実施権を取得する。」
(職務発明)
第三十五条 使用者…は、従業者…がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明…について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
(誤り) 「利害関係人に限り,商標法第50条(不使用取消審判)に規定する審判を請求することができる。」
(正しい)「何人も,商標法第51条(不正使用取消審判)に規定する審判を請求することができる。」
どちらも「何人も」である。
(誤り)「登録意匠と類似するか否かの判断は,創作者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行う旨が意匠法上に規定されている。」
(登録意匠の範囲等)
第二十四条 登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。
2 登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。
作った人が似てないと言っても、需要者が似てると思うものならダメということ。そりゃそうだ。
(誤り)「映画の著作物の場合,原則として映画製作者が著作者となる。」
(映画の著作物の著作者)
第十六条 映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条 法人その他使用者…の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物…で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
第二条 十 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。
(誤り)「この権利は,特許出願の際現にその発明の実施である事業を開始している場合に限り認められる。」
準備でもOK。
「特許出願人は,最初の拒絶理由通知に対し,補正により,要約書のみに記載された事項を特許請求の範囲に追加することはできない。」
17条の2の3項
第一項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは…、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面…に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
要約書は範囲に含まれないわけだ。