読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

第21回二級知的財産管理技能士学科試験(18~23)

(誤り)「拒絶査定不服審判の請求は,最後の拒絶理由の通知から3カ月以内に行わなければならない。」

これはひっかかる。まず、昔は「30日」だったのだが、平成20年(2008年)の法改正で「3カ月」に延長された。だからこれは正しいだろうと考えてしまったがトラップはそこだけではなかった。

(誤り)「拒絶査定不服審判の請求は,最後の拒絶理由の通知から3カ月以内に行わなければならない。」

(拒絶査定不服審判)
第百二十一条  拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。

同じじゃないかと思いそうになるが、これは全然違う。最近ケーススタディの対象にしていた特開2011-183509を見ると一目瞭然だけど拒絶理由通知に対して、出した手続補正書を却下して拒絶査定が通知されている。その間は7か月も空いている。

2013/09/10 :拒絶理由通知書
2013/11/11 :意見書・手続補正書
2014/04/01 :補正の却下の決定・拒絶査定 

「共同著作物の著作権については,他の共有者の同意を得なければ各共有者の持分を譲渡することができない。」

(共有著作権の行使)
第六十五条  共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下この条において「共有著作権」という。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。

(誤り)「著作権のうち複製権のみを譲渡することはできない。」

著作権の譲渡契約において翻案権について特掲されていなければ,譲渡した者に留保されたものと推定される。」

 (著作権の譲渡)

第六十一条  著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
2  著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

第二十七条(翻訳権、翻案権等)第二十八条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)

外国人が著作権の保護を受けるために(c)などの記号を書くことを求めたのは万国著作権条約であって、ベルヌ条約は求めておらず、両方に批准している国ではベルヌ条約が優先される。

「特許出願人が意見書を提出したことにより,通知した拒絶理由が解消したと審査官が判断した場合であっても,審査官が再度拒絶理由を通知する場合がある。」

別の拒絶理由となるような文献が見つかるかもしれないからね。

(誤り)「特許出願人が意見書を提出できるのは,新規性又は進歩性を有しないとの拒絶理由の通知に対して応答する場合に限られる。」

拒絶するまえに理由を伝えて意見書を出す機会を設けなければいけない、ならTrue。他にもいろいろな意見書の機会があるので「限られる」が誤り。

第21回二級知的財産管理技能士学科試験(15~17)

(誤り)「瑕疵担保責任は,民法上定められた権利であるので,当事者間の契約によって,排除することはできない。」

瑕疵担保責任は確かに民法上定められた責任(570条)であり、売主がその責任を果たさない場合、買主は損害賠償請求や契約の解除ができる。しかし瑕疵担保責任免責の特約を付けることはよく行われている。

「相手方の債務不履行によって譲渡契約を解除した場合には,契約は過去にさかのぼって効力を失う。」

ここで言う「解除」とは、一定の事由の発生によって契約当事者の一方に解除権が発生し、その者が解除権を行使することで、契約が遡及的に消滅し、契約当事者双方に原状回復義務を発生させる制度、だ。民法第541条 

履行遅滞等による解除権)
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

(誤り) 「明細書には,何人もその発明を実施できるように,発明を明確かつ十分に記載することが必要である。」

これはうっかりした。

第三十六条  4  一  経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。

 その他の選択肢に関しては「2  願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。」というわけで、図面は必要な場合のみ。

(誤り)「日本の税関に輸入差止の申立てをすることができるのは,特許権等の知的財産権の登録を受けた権利者だけである。」

登録をしていない専用実施権者も差止請求権を持つ。

差止請求権
第百条  特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」

 

第21回二級知的財産管理技能士学科試験(1~14)

過去問を解いてみたので新しく学んだことをメモしておく。

編集著作物はデータベースを含まない。

(編集著作物)
第十二条  編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
(データベースの著作物)
第十二条の二  データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

特許出願中の発明に対するライセンスは特許法に規定がある。仮通常実施権。

第34条の3 特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、その特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。

 平成23年(2011年)の法改正で、通常実施権の当然対抗制度(99条)が入った。これによって通常実施権は登録していなくても第三者に対抗可能になった。

(誤り)パリ条約は,同盟国の国民に対してのみ適用される。

内国民待遇の原則
パリ条約の同盟国は、工業所有権の保護に関して自国民に現在与えている、又は将来与えることがある利益を他の同盟国民にも与えなければならない(パリ条約2条(1))。また、同盟国民ではないものであっても、いずれかの同盟国に「住所又は現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所」を有するもの(準同盟国民)に対しても同盟国民と同様の保護を与えなければならない(パリ条約3条)

 優先権を主張して取得した特許は,優先権主張の基礎とされた特許出願に係る権利が無効にされた場合であっても,自動的に無効にされることはない。→各国特許独立の原則(4条の2) ある国においてした特許出願と同一の対象について同盟国に出願した特許がある場合、一方の国においてその特許が無効とされたとしても、同盟国において、そのことを理由として無効としてはならない

知的財産権の権利者は、自己の権利を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。意匠法も特許法を準用しているので「意匠権者は,自己の意匠権を侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止を請求することができる。」はTrue。

一方、「試験または研究のため」なら特許権が及ばない旨の規定を、意匠法は準用していない。なので「意匠権者は,試験又は研究を目的として登録意匠を実施する者に対しても権利行使することができる。」はFalse。

「法人著作の場合,著作者人格権は法人が有する。」True。法人著作となる要件(15条)を満たすと著作者が法人となる。著作者人格権は著作者が有する(17条)

(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

(著作者の権利)
第十七条  著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2  著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

 (誤り)未公表の美術の著作物の原作品を譲渡した場合,公表権も譲渡したものと推定される。

これはきわどい。それっぽい条文があるのでうっかり間違えそう。この条文の趣旨は「著作者が未公表の美術の著作物の原作品を譲渡した場合、公表権は著作者が持ったまま、公表に同意したとみなされる」なので上記選択肢は誤りである。

(公表権)
第十八条  …
2  著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものと推定する。
一  その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合 当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。

公衆への二次的著作物の提示に際し,原著作物の著作者は氏名表示権を行使することができる。

(氏名表示権)
第十九条  著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

「美術の著作物」には、美術工芸品を含む(2条2項 )

 

特許拒絶査定不服審判を含むフロー

特許庁がPDFを作ってくれている。

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/sinpan-binran_16/61-00_1.pdf

最近調査していた 特開2011-183509 はまさにこれの一番長いパスを通っている。

2010/03/09 :特許願
2012/06/14 :出願審査請求書
2013/06/04 :拒絶理由通知書
2013/08/01 :意見書・手続補正書
2013/09/10 :拒絶理由通知書
2013/11/11 :意見書・手続補正書
2014/04/01 :補正の却下の決定・拒絶査定
2014/07/01 :拒絶査定不服審判・手続補正書
2014/07/23 :前置移管
2014/09/25 :前置報告書
2015/05/12 :拒絶理由発送
2015/07/13 :意見書・手続補正書
2015/08/27 :原査定取り消し審決
2015/09/18 :登録

前置審査とは

審査官の拒絶査定に不服の場合には、拒絶査定不服審判を請求できる。だけど、その請求と同時に補正がなされた場合には、引き続きその拒絶査定をした審査官が審査する。これが前置審査。

第百六十二条  特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは、審査官にその請求を審査させなければならない。

普通の拒絶査定は複数人の審査官による合議体で「審理」が行われるが、これは前置審査は一人の審査官による「審査」である。なぜこんなことをやるかと言うと「補正をしたのだから合議体での審理をする前にまず元々審査してた審査官に審査させとこう、それで決着つくならスピーディだし」ということ。

補正によってOKがでるなら確かにスピーディだが、NGが出そうな場合(審査官がイマイチこちらの主張をわかってくれていない場合)だと逆に遅くなるのではないかなぁ。

最初の拒絶理由通知に対する補正の内容的制限

Q: 「最初の拒絶理由通知」に対する補正の、内容的制限とは?

僕の回答: 「最初の拒絶理由通知」ってなんだっけ?

解答:

  1. 新規事項の追加の禁止 
  2. 特許請求の範囲について補正をするときは、拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条の発明の単一性の要件を満たすこと

(願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第十七条の二  特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一  第五十条(…)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二  拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三  拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四  拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。
2  第三十六条の二第二項の外国語書面出願の出願人が、誤訳の訂正を目的として、前項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、その理由を記載した誤訳訂正書を提出しなければならない。
3  第一項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(…)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
4  前項に規定するもののほか、第一項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。

 なぜ「最初の拒絶理由通知」と限定されているかと言うと、最後の拒絶理由通知にはさらに制約があるから。

5  前二項に規定するもののほか、第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶理由通知と併せて第五十条の二の規定による通知を受けた場合に限る。)において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一  第三十六条第五項に規定する請求項の削除
二  特許請求の範囲の減縮(第三十六条第五項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
三  誤記の訂正
四  明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)

 参考

(文献公知発明に係る情報の記載についての通知)
第四十八条の七  審査官は、特許出願が第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たしていないと認めるときは、特許出願人に対し、その旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。

 

新規性喪失の例外の適用を受けるための要件は?

Q: 新規性喪失の例外の適用を受けるための要件は?

僕の回答: 公開から6か月以内の出願であること、新規性喪失の例外に該当することを出願時に申告すること、出願から何か月かの間に証拠を出すこと

正解:

  1. 新規性を失った日から6か月以内に出願すること
  2. 新規性喪失の例外の適用を受ける旨を記載した書面を出願と同時に特許庁長官に提出すること
  3. その適用を受けることができる発明であることを証明する書面を30日以内に特許庁長官に提出すること

(発明の新規性の喪失の例外)
第三十条
…その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。
3  前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面(次項において「証明書」という。)を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。